“世界で一番貧しい大統領”で一躍有名になったムヒカさんの言葉に次のような言葉があります。「何らかの人生の時点で、鏡の前に立ち止まって自分自身を見つめるときが来ることはあると思っています。そんなとき、これまで何かをやろうとして、何度も失敗したけど、行動に移した数々のことを思い出すかもしれません。「100やりたかったことがあるとすれば、5しかできなかったけど、行動に移すことができて有意義だった」と思えるかもしれません。
でも反対に、「私は人生で何もしてこなかった」「私の人生は浪費の連続だった」、「誰に対しても、手を差し伸べなかった」、「誰かのために時間を費やすことなんてなかった」と思うこともあるかもしれません。そんな人は、鏡の前に立ち止まったとき、自分の姿を見て失望するでしょう。そこに映っているのは、自分のエゴイズムでしかないからです。
すべての生命はエゴイズム(利己主義)を持っています。それは自分自身を守るために、自然が私たちに与えてくれたものです。でも、人間はひとりでは生きていけません。必ず他者を必要とする生き物なのです。」
こういう意味では、お茶の水メディカル・カフェは一人ではない、家族だと感じます。それぞれが弱さを感じながら、もう一人の隣人のため、もう一人の他者のために、耳をダンボのようにして聴き、痛み、分かち合い、一緒に生きている。これがお茶の水メディカル・カフェです。ですから、誰一人「私は人生で何もしてこなかった」「私の人生は浪費の連続だった」、「誰に対しても、手を差し伸べなかった」、「誰かのために時間を費やすことなんてなかった」などと言う人はいないと思います。ある参加者が、『もう私の話はみんな聞いてもらったから、ここへくることはなくなりました』とおっしゃる方に、『いえいえ、、これからは、お話を聴いて差し上げるために来るんですよ』とお答えしたことがあります。
第48回お茶の水メディカル・カフェは、4周年を記念して、音楽ゲスト、スイート、樋野講話があなたをお待ちしています。お体にごむりにないようにお出かけください。榊原 寛