2010年05月のメッセージ 榊原寛
ラ・ストラーダ 人生は道だ
2010年2月 カナダ・バンクーバーで開かれた冬のオリンピックの男子フィギュアスケートで、高橋大輔選手が「銅メダル」に輝きました。その後の世界選手権では「金メダル」を獲得しました。彼の滑りは、イタリア映画の名作、フェデリコ・フェリーニ監督の『道』のテーマ音楽にのったものでした。
この映画は、イタリヤ映画で、[La・Strada]というタイトルで、ベネチア映画祭ではサンマルコ獅子賞に輝き、アカデミー外国語映画賞を受賞した名作であったようです。かつて、この映画を見たものとしては、懐かしい映画のカットがいくつも思い浮かんできました。
ジュリエッタ・マシーナが演じる貧しい上に少々足りない娘ジェルソミーナは、アンソニー・クインが演じるオートバイで旅まわりをする曲芸師ザンパノーの助手となって旅に出るのです。この映画の中で、綱渡り芸人の男が、旅芸人の娘ジェルソミーナに語りかける場面があります。
「この世のどんなつまらないものでも、役に立つ時があるのだ、たとえば、この小石だって役に立っている。空の星だって、そうだ。君もそうなんだ。」
頭の足りないジェルソミーナも、この言葉には胸をうたれたのです。
人生は『旅』だと言われてきましたが、映画では、人生は『道』だと言おうとしているのでしょう。私にとって、ヒロインのジェルソミーナに悲哀を感じながらも、けなげに生きる姿がとても印象強いものとして残っています。
人生という道中には、悲喜こもごも、ひとことではいいつくすことができない出来事があります。それが道なのです。
若い高橋大輔選手は、思いがけないアクシデントに見舞われました。右ひざのじん帯断裂、手術、リハビリ…。もう選手生活は諦めではないかと思われた逆境の険しい山坂でした。しかし、その苦難にめげないでリハビリに取り組んだ精神は、すばらしいものではなかったかと思います。そのような逆境を越えての銅メダル、金メダルだけに、その重みはひとしおであったでしょう。
軽快なステップ、すばらしい技術、4回転ジャンプなどなど、すばらしいものを身につけた選手だと思いますが、それ以上に彼自身の道を生き抜いた魂の強さに感服してしまいます。
高橋選手がこの『道』の映画の中の会話、「そうだ。君もそうなんだ」というくだりを、自分に当てはめたかどうかは分かりませんが、お互いも、「どんなつまらないものでも、役に立つ時があるのだ」と自らに言い聞かせて、自分の道を生きていきたいと思います。
よく5月を「五月病」の月と呼んでいましたが、疲れから、諦め、失望、そして絶望に至るようなとき、キリストが言われている言葉を思い出してほしいのです。「イエスは言われた。『私が道であり、真理であり、いのちなのです。』」
フライデーナイトは、この道を一緒に歩いていこうとみんなで集まっている集まりです。ぜひあなたものぞいて見てください。
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