2009年10月のメッセージ 榊原寛

実社会を生きる


 50年ほど前の中学時代の同級生に久しぶりに会いました。「久しぶり。元気か」というお決まりの言葉を交わすうちに、彼曰く、「辛いことばっかりで、いやになっちゃうよね」「そうだね。思うようにいかないことばかりだよね」などと話し合いながら、お互い元気で過ごせるようにと別かれたことでした。
山本周五郎の『竹柏記』に次のような記述があります。
「恋は何よりも美しく尊いかもしれない。しかし人間には、生活がある。生きていくには辛抱強い努力と忍耐が必要だ。しかもその道は嶮しく遠い。思わぬ災厄や病苦にも見舞われる。」
「その道は嶮しく遠い。思わぬ災厄や病苦にも見舞われる」、それが人生だとは誰もがわかっていながら、「思わぬ災厄や病苦」が、他人ではなく、自分自身に襲ってくるとき、果たしてどれだけ耐えうることができるでしょうか。
ところで、日本における自殺者は、97年までは2万人台前半で推移してきたようですが、98年は3万2863人と前年より約8500人も増えました。自殺の理由として「経済的な理由」がクローズアップされ、11年連続して3万人を超えています。今年も1~7月で2万人近くに達しています。
人口3万人余の町が毎年ごそっとなくなっていくほどに驚くべき数なのです。さらに、自殺未遂の数を入れれば、その3倍5倍ではきかないでしょう。
死んでいく人はそれですべてが御破算になるかもしれませんが、その家族や周辺の人々にどれだけの悲しみや苦しみを担わせるでしょうか。このことだけでも、思いとどまって何とか乗り越え、生き延びて寿命を全うしたいと思うのです。他人事であるうちは、「死ぬことはないだろう。なんとかがんばって生きていけないのか」と思います。
私の愛用している新明解国語辞典で、「実社会」という項目を調べると、次のような説明がありました。「美化・様式化されたものとは違って、複雑で、虚偽と欺瞞に満ち、毎日が試練の連続であると言える、厳しい社会を指す」
少しオーバーな感じもします。「複雑で、虚偽と欺瞞に満ち、毎日が試練の連続」というと、もうこれだけで疲れてしまい、生きるのを辞めたいという衝動に駆られてしまいそうです。
 キリストは十字架に貼り付けられる前夜、弟子たちに言われました。「あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。」(ヨハネ16:33)「勇敢でありなさい」と言われるお方が居られるのだということを知っていただきたいのです。
フライデーナイトでは、「みんなで生きよう!」、そんな思いや願いを込めて毎週集まっています。ぜひあなたも来てみてください。


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