2008年10月のメッセージ 榊原 寛

他者を思う


 長野県立子ども病院で、長期入院の子どもたちのための院内学級の文集が出版されました。それは、「電池が切れるまで」というタイトルで、子ども病院からのメッセージ「すずらん会」編によるものです。


 それに、中学3年の藤本一宇(いちう)くんが、次のような詩を寄せていました。


自分はいったい何だ
自分だけが苦しい病気じゃないのに
もっともっと苦しい病気の
こどもが必死に闘っているのに


自分は何だ
今でもわからんけど
しあわせなもので
わがままなのはたしかだな


どこへ行っても
話し相手がいた
移植のときは
毎日家の人が来てくれた
こんな幸せな自分ばかり
先に退院して


僕よりずっとずっと
がんばっている子に
なんていったらいいか
わからないけど


ごめんね  がんばってね


 藤本君も、どういう病気であったか分かりませんが、「移植」の手術を受けるような大きな病気をしたようです。きっと、当初はなんで自分ばかりこんな目に遭うのだろうかと、元気で学校に通い、勉強したり、部活をしたりしている友達を羨んでいたかもしれません。でも、この病院に来て、自分よりもっと大変な病気を抱えている子どもたちがいる。しかも、自分より小さな子たちが、あんなにがんばっている、というような姿に接し、「自分はいったい何だ。考えて見れば、自分はかなり恵まれているじゃないか。それなのに、なんか不平や文句めいた自分がいる。わがままだよな」。そんな藤本君の気持ちが伝わってきて、感動しました。


 ここに、自分が確かに苦しみの経験をしたからこそ、自分と同じような、いや、もっと大変な子達の苦しみに対して、「なんていったらいいか、わからないけど」と言っていますが、分かったんですね。
 他者への同情、どんな境遇でも感謝ができる、そんな人生を自分の人生にしたいものです。フライデーナイトはそういう人生の転換をする場でもあります。


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