2008年09月のメッセージ 榊原 寛

ことばには力がある


 ただ、おことばをいただかせてください。そうすれば、私のしもべは直りますから。(マタイ8・8)
 キリストの時代のユダヤは、ローマ帝国に支配されていました。したがって、各地にローマの軍隊が駐屯していました。新約聖書マタイによる福音書8章には、キリストとローマ軍の百人隊長との出会いが書かれています。
百人隊長は、彼のしもべが中風になって、ひどく苦しんでいることをキリストに懇願したのです。するとキリストは、「行って、直してあげよう」と言われたのです。そのとき、百人隊長は、「主よ。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません。ただ、おことばをいただかせてください。そうすれば、私のしもべは直りますから。と申しますのは、私も権威の下にある者ですが、私自身の下にも兵士たちがいまして、そのひとりに『行け。』と言えば行きますし、別の者に『来い。』と言えば来ます。また、しもべに『これをせよ。』と言えば、そのとおりにいたします」と言いました。
キリストは彼の言葉を聞いて、「まことに、あなたがたに告げます。わたしはイスラエルのうちのだれにも、このような信仰を見たことがありません」と言われました。これは、キリストが常々考えている信仰というのはこういうことなのだ、というキリストの驚きであり感動を意味しています。
「言葉の持つ力は思った以上に大きい」と、ある日の読売新聞に、エッセイストの岸本葉子さんが書いていました。ご自分がガンになったとき、友だちからもらった励ましの言葉がどんなに力であったかというのです。やがて、「希望の言葉を贈りあおう」という企画から、「ちょっとだけ凹んでいるあなたへ」という本が出版されたそうです。岸本さんは言っています。「今、子どもたちがインターネット上で友達を中傷する問題がおきています。言葉には人を勇気づける力もありますが、反対に人を傷つける凶器にもなります。ただ、相手に言った汚い言葉は必ず自分に返ってきます。言葉には言霊というように本当に不思議な力があるんです」。私は、言霊というようなものを信じているわけではありませんが、言葉の力を経験することがしばしばあります。
私たちが語っている言葉でさえも、人を生かす場合も殺す場合もあるとすれば、キリストのことばは力があると百人隊長は確信したのです。
さて、キリストのことばとは、私たちが手にしている聖書です。「読書の秋」と言うのはもう古い表現でしょうか。依然として世界のベストセラーである聖書を読み、キリストの言葉を聞き、生きる力を得ていただきたいのです。
そのキリストの言葉が分かりやすく語られているところが教会であり、フライデーナイトでもあるのです。


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