2007年11月のメッセージ 榊原 寛
赦しの連鎖
「 そのとき、ペテロがみもとに来て言った。『主よ。兄弟が私に対して罪を犯したばあい、何度まで赦すべきでしょうか。七度まででしょうか。』イエスは言われた。『七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまでと言います。』」 新約聖書マタイによる福音書18章21-22
聖書に出てくる数字には、ある程度意味を持ったものがあります。弟子のペテロがキリストに申し上げた赦しについて、兄弟の罪をゆるすにあたって、七度まではどうでしょうかと言いました。ペテロにとって、そういう人間関係があったのでしょうか。“どうしても赦せない奴”がいたのでしょうか。
「七」という数字は、完全を意味する場合があります。「仏も顔も三度」ということばもありますが、七度とまで言ったのは、相当なものでした。そうも言えば、キリストにほめられるのではないかという期待もあったのでしょうか。ところがキリストは、「七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまで」と言われたのには、ペテロもまいったことでしょう。 憎しみの連鎖は、争い、殺戮、戦争、破壊を引き起こしますが、赦しの連鎖は、平和や祝福や繁栄をもたらします。
もう30年以上も前のことでしたが、初めて韓国を訪問したときでした。ある教会の礼拝でのメッセージの奉仕を終えて、役員執事の皆さんと昼食をいただいたときのことでした。ある執事の方が、緊張した面持ちで私に話しかけました。「私が子どもだった頃、日本兵が私の家にどやどやと押しかけて来ました。そして私の母を裸にして強姦し、銃剣で刺し殺して出て行きました。私はその時から『日本を決して赦さない』と誓って生きてきました。しかし、私はキリストに出会い、キリストを信じ受け入れたとき、『私こそ赦されなければならない罪人だ』ということに気付かされ、自分の罪を心から悔い改めたとき、日本人を赦すことができるようになりました」と述懐してくれました。私は、心から申し訳ない気持ちで謝罪させていただいたことがあります。日本兵が赤ちゃんを空中に放り投げて銃剣で刺し殺して出て行ったというような話もあります。
このような悲痛な出来事は、親が子に、子が孫に伝えられ、日本への憎しみの連鎖は継承されてきたこともうなづけます。
現在、私の友人である韓国の牧師達は、「謝罪の気持ちは分かった。日本の人々が神様を信じることができるために宣教に励んでほしい。そして、政治家たちが不用意な発言や行動があった場合、声をあげて抵抗してほしい」と言われてきました。
7月に埼玉アリーナで開かれた『ラブソナタ』集会では、講師のハ・ヨンジュ牧師は、メッセージの冒頭で、「『日本を赦さない』と思い続けてきた私を赦してほしい」と言われたのには驚きでした。「赦してください」と真心を込めるとき、「赦します」が返ってきます。そんな赦しの連鎖を、日本国が沖縄にも世界にも向かって発信したいと思います。私たちも身近な人たちに発信したいものです。そして、私たちにとっての発信源のひとつがフライデーナイトです。
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