2007年08月のメッセージ 榊原 寛



 「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです」
                            新約聖書マタイ5章9節

 これは、イエス・キリストのおことばです。新約聖書が書かれたギリシャ語では、「幸いです」という語が冒頭に来ています。それは大変強調されているということです。平和は、叫ぶものであると同時に、各自がつくり出すものです。

 読売新聞の「時代の証言者」の欄に、記者が聖路加病院理事長である日野原重明先生に、6回に渡ってインタビューした内容が掲載されていました。その最後に、「いのちの大切さ 子供に伝える」と題して、戦争と平和について言及していました。「僕はあの悲惨な戦争を経験しているから、戦争や核兵器には絶対反対だけれど、ただ『戦争反対』と声高に叫ぶだけでは、いつまでたっても平和はこないと思うんだ。ニューヨークの9・11テロの後に、憎しみの輪が世界に広がったように。だから、命を大事にし、なぐられても相手を許すという姿勢こそが必要だと思うんです。そして、それを子供に教えなければいけない。」

 日野原先生は、よど号ハイジャック事件のときに、よど号に乗り合わせた経験があります。また、サリン事件の時には、手術の予定者を延期してもらってまでも病室を確保して患者を引き受けたということも伝えられています。 『罪を憎んで人を憎まず』と言いますが、「相手を許す」ということは、先生ご自身が、そういう人生を送られてきてのことであろうと思うのです。
「2005年10月に、指揮者の小澤征爾さんと広島で開いた『世界へ送る平和のメッセージ』という音楽会にも、そんな思いを込めたんです。7000人の観客を集めて、小澤さんが、フォーレムの『レクイエム』を指揮し、僕は自作の詩を朗読してね。『殺すなかれ、核兵器を葬れ、とのかけ声からは本当の平和は生まれなかった。そこで私は提唱したい。人を心から愛するためにすべてを恕(ゆる)そう』」

 キリストは、自分を十字架につけた宗教家、ローマ兵、群集、そして師を裏切って逃げ惑う弟子たちを、「彼らを赦してください」と父なる神に祈られました。その赦しに、私もあなたも迎えられているのです。この赦しの経験こそ、他者を赦すエネルギーとなるのです。
 フライデーナイトに参加するお互いに対して、「平和をつくる者は幸いです」といわれ、「神のこどもたちです」と呼ばれるものでありたいと願います。
 フライデーナイトから、キリストによる赦しの連鎖、平和の連鎖現象を起こしていきたいと思います。


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